ミニ F56 ヘッドライト不点灯だけでなかった!警告なしのライト全滅の原因を徹底調査

ミニ F56 ヘッドライト不点灯をFLE初期化で復旧。しかし、それだけでは無く、エクステリアライトが全滅という悲惨な状態でした。原因を徹底追究して問題を特定して無事に解消。安全性に関わる重大事例を詳しく紹介。

ミニ ハッチバック(F56) クーパー(COOPER)
ミニ ハッチバック(F56) クーパー(COOPER)

車両情報

車種ミニ ハッチバック(F56) クーパー(COOPER)
初年度登録2014年
都道府県神奈川県

ヘッドライトが両側とも不点灯。まずは適合チェックとFLE初期化から

■ “ライト不点灯”の典型症状

神奈川県からご来店いただいたF56クーパー(前期)。
オートオークションで落札されたばかりの車両で、左右のLEDヘッドライトがまったく点灯しない状態でした。

ご入庫時の症状は以下の通り:

  • 左右LEDヘッドライトが完全に不点灯
  • 「フロントライト装置異常」警告
  • 「ヘッドライト光軸調節異常」警告
  • ISTA上にはライト関連エラーが多数
ミニ F56 ヘッドライト不点灯
「フロントライト装置異常」警告
「ヘッドライト光軸調節異常」警告
ISTA上にはライト関連エラーが多数

まず疑われるのは「適合しないヘッドライトが交換されているケース」。
しかし今回は、前期型LEDヘッドライトの仕様である“冷却ファン付きタイプ”が正しく装着されていました。

■ LEDヘッドライトコンピューター(FLE)初期化で正常復旧

適合ヘッドライトであることを確認のうえ、LEDヘッドライト制御モジュール「FLE」を初期化。
これによりロービーム・ハイビームすべて正常点灯を確認。

ロービーム・ハイビームすべて正常点灯を確認

結果として、
ヘッドライト交換後にFLE初期化が行われていなかっただけ
という内容でした。

F56のLEDヘッドライトは、FLEの設定が合っていないと点灯しないため、交換時の初期化は必須作業です。

念のため点検したエクステリアライトで“重大トラブル”発見|ほぼ全滅状態

■ 片側だけ発光・ブレーキランプ不点灯など危険な状態

ヘッドライト復旧後、念のため車両全体のライトチェックを実施。
すると、驚くべき状態が判明しました。

  • ポジションライト → 片側のみ点灯
  • フォグライト → 片側のみ点灯
  • テールライト → 片側のみ点灯
  • ナンバー灯 → 不点灯
  • ウインカー → 片側のみ点灯
  • ブレーキライト → 両側とも不点灯
  • ハイマウントストップランプ → 不点灯
  • リアフォグ → 不点灯
  • バックライト → 不点灯

つまり、エクステリアライトの半分以上が正常に機能していない状態

ポジションライト&フォグライト → 片側のみ点灯
テールライト → 片側のみ点灯
リアフォグ&ナンバー灯 → 不点灯

この状態で約20km走行してご来店されており、特にブレーキライト不点灯は非常に危険です。
しかし、ヘッドライトの警告以外は一切メーターに警告は表示されていませんでした。

一切メーターに警告は表示されていません

■ BDC故障も疑うレベルの症状を“1つのエラー”から追究

ISTAでエラーを消去しながら内容を深掘りすると、
唯一残ったのは 「ターミナル30L2供給電圧の欠如」 のエラー。

「ターミナル30L2供給電圧の欠如」 のエラー

ヒューズボックスを確認すると、
40Aの大型ヒューズが本来とは異なる位置に差し込まれている
という異常を発見しました。

40Aの大型ヒューズが本来とは異なる位置に差し込まれている

横浜店スタッフ車(MAO号)と照合したところ、明らかに装着位置が違っています。

40Aヒューズを正しい位置に戻す
40Aヒューズを正しい位置に戻す

40Aヒューズを正しい位置に戻すと…

👉 エクステリアライトすべてが正常復旧

ここでようやく、“全ライト不調”の原因が判明しました。

“全ライト不調”の原因が判明
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧
エクステリアライトすべてが正常復旧

原因は“出品業者のヒューズ誤装着”。意図的か単純ミスかは不明だが非常に危険な状態だった

■ 整備技術の問題 or 意図的に誤装着した可能性も

今回の40Aヒューズ誤装着は、オートオークション出品前の業者による作業が原因と考えられます。

  • 単純なミス → 技術レベルが疑問
  • 意図的な操作 → 不具合を隠してオークションへ流した可能性も

どちらにせよ、お客様は
「ヘッドライト以外は問題ない」
と思っておられたため、エクステリアライト全滅は非常に驚かれていました。

ヘッドライト不点灯のついでに全体点検を行わなければ、非常に危険な状態で走行を続けていた可能性があります。

■ ETC配線抜けも同時に修復し、約90分で完全復旧

  • 社外ETCは配線が抜けており動作不可 → 正しく配線して復旧
  • 全ライトの点灯チェックも実施し、すべて正常
ETC配線抜けも同時に修復

作業は約1時間30分で完了し、お客様にも大変ご満足いただけました。