【サワダコラム】


みなさん、こんにちは!

ライコウの澤田です!!



今回の【サワダコラム】

リコール修理のプログラミング時にECUの交換指示がっ!?
ISTA診断機が壊れてないECUをナゼ交換と指示するのか!?
原因を徹底究明!!


というテーマで書かせていただきます。


ディーラーへリコール作業で入庫したら下記のような状態になって、プログラミング作業が進まないようです。



CON(ZBE3)とはiDrive画面操作するジョグダイヤルやボタンが付いた部品。



おクルマは2016年のF55 COOPERSD。

ディーラーから
他の部品に交換しているから作業が進まない。元に戻してください。
と言われたそうです。

お客様のおクルマは、6年前にパドルシフトやマルチファンクションスイッチやドライビングモードスイッチを後付装着させていただいただけで、
CON(ZBE3)は車両購入時からそのままなのに、元に戻せと言われても・・・。
と大変お困りの状態でご相談いただきました。

その前にも、後付装着したものは外してくださいってことで、今回のディーラー入庫前に、完全ノーマル復帰作業も承っていました。

















コーディング内容を初期化してノーマル状態にし、ステアリング内の端子を外すところまでして、ディーラーのプログラミング作業に影響を及ぼさない処置をここまでするか!ってくらいしたんですけど、後付装着とは全く違うところのお話となりました。


それなら、リコール作業のプログラミングをディーラーができないと言うのなら、ライコウがやってやろうとプログラミング作業を取り組むことにしました。

ライコウへご入庫いただいたのは6月23日。



新車製造時から一度もプログラミング作業が実施されていません。
ディーラーへは車検などで入庫されていますので、今まで大きな故障もなくお乗りいただいているようです。

ISTA診断機の現在のバージョン(4.40.xxもしくは4.41.xx)にはバグがあり、ECU不具合リスクがあると考えているため、ECUのプログラミング作業は別システムを使用し、それ以外をISTA診断機で行なうことにしました。
もちろん、プログラムデータはISTA診断機内のデータ(4.41.30)を活用。


プログラミング作業はシステムが判別してバージョンアップが必要なECUのみプログラミングします。
ですので、すべてのECUでプログラムバージョンが上がるとは限りません。
これはISTA診断機でも同様で、現在搭載されているプログラムバージョンなどを加味してシステムが判断するので、システム自体はホント優秀だと感じます。

今回の事案では、16個のECUのうち、
プログラミングが必要と判断したのは15個
プログラミングが不要だと判断したのは1個
でした。

その15個のECUをプログラミング。

ISTA診断機では、プログラミング時に進捗度を表すバーが表示されるのみで、何をしているのかは一切わかりません。
別システムでプログラミングすると、どのECUのどのプログラムやデータを書き込んでいるのかが確認できますので状況判断がしやすいです。
もしプログラミングが途中で止まっても、どの部分が止まったのかなどが確認できるので安心感が違います。

サクサクとプログラミングが進行しまして、作業自体は完了。







無事にプログラミングが完了したECUは14個。
1個のECUだけはプログラミングを行なわずに完了となりました。

そのECUはCON(ZBE3)

ISTA診断機では交換CON(部品番号9866933)と表示されてたECUです(-_-;)

システムがCON(ZBE3)をプログラミングをしなかった理由は
予期されるSGBMIDと一致しない

目標値は HWAP-00028A2-255.255.255
実際値は HWAP-00028A3.255.255.255

システムが判断したバージョン(目標値)とCON(ZBE3)にインストールされているバージョン(実際値)が異なるのが原因のようだ。



これが、ISTA診断機で【交換CON(部品番号9866933)】と表示され、ジョグダイヤルやボタンが付いた部品の交換をしないとプログラミング作業ができない理由と判明。

しかし、車両購入時からずっと使っていて壊れてないし、過去に交換したこともない部品なので、理由がわかったとしても部品交換は納得できないですよね~。

何とか部品を交換せずにプログラミングを完了できないかと試行錯誤しましたが、現時点のスキルでは対処しきれず・・・。

新品のCON(ZBE3)をディーラーへ発注~。

部品の日本定価は、
64,300円(税別)(;'∀')
2023年6月23日現在で日本国内在庫5個だったので、緊急オーダーで手配。

緊急オーダーのため、翌日の24日に部品は無事到着して、早速プログラミングの続きを行ないます。

CON(ZBE3)を交換。プログラミングを完了させるための一時的に交換です。
一時的な交換と表現している理由は後述します。







そして、ISTA診断機でプログラミング。





あっさりとプログラミング完了。



リコール作業の要件を満たすバージョン(データレベル)になりました。

今回のライコウでのプログラミング作業では、後付装着しているパドルシフト、クルーズコントロールの設定を行なった状態で行なっています。

ということで、
メーカーオプションの後付装着していても、コーディングしていてもプログラミングには影響が無かったという事例
ができました。

ただ、マルチファンクションスイッチの後付装着については、ボイスコマンドの認証コードをインストールしてないと、プログラミング時に認証コードのインポートを要求されることが判明。リコール修理に関わらず今後プログラミング作業が必要な場合に備えて、ディーラーに迷惑を掛けないような設定にする必要があります。

これでリコール作業は完了ではありません。
ディーラーでバージョン(データレベル)を確認して、EGR(リコール問題の部品)の破損有無を目視チェックして問題無ければ完了という流れですので、このあとディーラーに行ってもらう必要はあります。

お客様へは、私が作成したレポートをご持参いただき、この状態で後日ディーラーへリコール作業で入庫していただきます。
その結果は、情報や資料がそろえばご紹介したいと思っています。


ということでプログラミング作業は完了しましたが、

本題はここからです!


プログラミング時にISTA診断機で【交換CON(部品番号9866933)】と表示され、ジョグダイヤルやボタンが付いた部品の交換をしないとプログラミング作業ができないというのが理由だったのですが、車両購入時からずっと使っていて壊れてないし、過去に交換したこともない部品なので私にとっては全く腑に落ちない話です。



今回の件は、このクルマだけの問題なのか?

どうしても気になってしまい調査を開始っ!

どうやって調べたかと言いますと、ライコウでコーディング施工した車両のバックアップしている約1万台のデータから、CON(ZBE3)に予期されるSGBMIDと一致しないHWAP-00028A3.255.255.255を搭載した車両が無いかを調べます。

膨大な件数なので、
車両登録が【2016年】 車両が【F55】 グレードが【COOPERSD】
の3つのキーワードで車両を絞ってみました。

地道な作業ですが、CON(ZBE3)にHWAP-00028A3.255.255.255を搭載した車両を発見っ!!

HWAP-00028A3.255.255.255を搭載した車両は、

2016年6月から9月に製造された
ミニ 5ドア(F55) COOPERSD(クーパーSD)


もっと具体的に言うと車台番号が
WMWXT720★0 T859★★★

だけでした。


流石に全数チェックはしてませんが、今回の調査では、
2016年製造でもF56やF54は問題ナシ。
F55でもCOOPERやCOOPERDやCOOPERSは問題ナシ。
ホント、2016年製造のミニ 5ドア(F55) COOPERSD(クーパーSD)のみでした。


ライコウでバックアップしていたWMWXT720★0 T859★★★に該当する車両は9台。
その9台すべてのCON(ZBE3)にはHWAP-00028A3.255.255.255がインストールされてました。

車両製造時にCON(ZBE3)へ誤ったプログラムをインストールしてしまったことが最大の原因だと考えます。

ってことで、ディーラーでお客様に対応した担当者が発した
他の部品に交換しているから作業が進まない。元に戻してください。
は、完全な言い掛かりです。

ライコウへご相談いただかなければ、部品は壊れていないにも関わらず、64,300円(税別)の部品代を負担させられてしまうところでした(;'∀')

ディーラーが発した言葉は、ほとんどの方が完全に信じ切ってしまうでしょう。
しかし、ISTA診断機の診断結果だけで判断した担当者の発言により、誤った内容で費用負担を強いられる可能性がある。
ISTA診断機の診断結果だけじゃなくて、他の手段も活用して原因を探るなどの行動を起こしてから導き出した内容で発言されたほうが良いですよ。



もっと証拠を集めるために、まだまだ深掘りします


ライコウでバックアップしていた9台の車両をデータで追いかけます。
2023年6月24日現在の状況です。
■1台目
車台番号:WMWXT72010 T859★★★
製造日:2016年06月30日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-21-03-570

2016年09月13日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
2017年10月17日 再コーディングで来店
HWAP_000028A2_255_255_255
新車保証期間内でCON(ZBE3)を交換していると想定


■2台目
VIN:WMWXT72050 T859★★★
製造日:2016年08月23日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-21-11-535

2016年10月20日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
2019年07月19日 再コーディングで来店
HWAP_000028A2_255_255_255
新車保証期間内でCON(ZBE3)を交換していると想定


■3台目
VIN:WMWXT72090 T859★★★
製造日:2016年07月28日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-19-07-520

2017年01月22日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
2018年07月22日 再コーディングで来店
HWAP_000028A2_255_255_255
新車保証期間内でCON(ZBE3)を交換していると想定


■4台目
VIN:WMWXT72020 T859★★★
製造日:2016年07月26日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-16-07-502

2017年02月18日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
プログラミング未実施


■5台目
VIN:WMWXT72010 T859★★★
製造日:2016年07月18日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-16-07-502

2017年10月06日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
プログラミング未実施


■6台目
VIN:WMWXT72040 T859★★★
製造日:2016年07月25日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-21-03-530

2017年07月18日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
2022年03月08日 再コーディングで来店
HWAP_000028A3_255_255_255
CON(ZBE3)はプログラミングされていない


■7台目
VIN:WMWXT72050 T859★★★
製造日:2016年07月26日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-16-07-502

2021年08月21日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
プログラミング未実施


■8台目
VIN:WMWXT72090 T859★★★
製造日:2016年07月01日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-502
Iレベル (現在):F056-16-07-502

2022年03月13日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
プログラミング未実施


■9台目
VIN:WMWXT72070 T859★★★
製造日:2016年09月13日
Iレベル (工場出荷時):F056-16-07-506
Iレベル (現在):F056-18-07-545

2022年08月28日 初来店
HWAP_000028A3_255_255_255
CON(ZBE3)はプログラミングされていない

6月24日時点では9台ともリコール作業でのプログラミングは実施されていません。
Iレベル (現在)がF056-23-03-530になっていればプログラミング済みですが、いずれも過去の状態。

1台目と2台目と3台目は、新車保証期間内にCON(ZBE3)が交換されてHWAP_000028A2_255_255_255になっているので、プログラミング時の交換指示は出ず、問題無くリコール作業は進むはず。

6台目と9台目は、過去にプログラミング作業が行なわれていますが、いずれもCON(ZBE3)はプログラミングされずバージョンは上がっていない。

ということで、6台の車両はプログラミング時に【交換CON(部品番号9866933)】が出て作業が進まないはずです。


この6台は、CON(ZBE3)が壊れていないにもかかわらずリコール作業で64,300円(税別)の部品代を負担させられてしまう可能性があります


ライコウでは、HWAP_000028A2_255_255_255を搭載したCON(ZBE3)を持っています。ディーラーのプログラミング作業で交換を強いられてしまう場合、お客様へ貸し出しや弊社でのプログラミングなどの対応をさせていただきますよ~。
ライコウでそこまでやる必要は無いのですが、できないディーラーの対応でお客様が路頭に迷ってしまうことが許せないからです。


この情報を早めにお伝えしたく、【サワダコラム】で書こうと思っていた順番を変更して書きました。


まだ、続きがあります

今回の案件を調査したのは6月23日-24日。

6月25日に新たな展開が待っていました。

上記の8台目のおクルマが再コーディングでご来店。
2022年03月13日にドライビングモードスイッチの後付装着でご来店いただきました。

当然ながら、リコール作業のプログラミング時にCON(ZBE3)を交換されたものだとお客様へ確認してみますと、交換など何も無く、リコール作業のプログラミングが完了しているとのこと。

えっ!?
私が仮説を立てて検証して見つけ出した証拠を覆されてしまうのか!?


お客様に了解を得て、ISTA診断機を活用して調べてみました。



すると、HWAP_000028A3_255_255_255のまま。



どうもCON(ZBE3)はプログラミングされていない。


プログラミングの計算をさせてみると



【交換CON(部品番号9866933)】と出ます。

やはり、CON(ZBE3)は交換する必要があります。


CON(ZBE3)を交換せずにプログラミングできた理由が見えてきました。

考えられる方法は3つ。

1.ライコウが実施した手法と同じく、HWAP_000028A2_255_255_255が搭載されたCON(ZBE3)に一時的に交換してプログラミングを実施。
2.ISTAのバージョンが以前のものだとCON(ZBE3)のプログラミングが必要ない?
3.できるメカニックがISTAを駆使して、CON(ZBE3)の交換指示を乗り越えてプログラミングしたか?

いずれにせよ、対応できるディーラーが存在しているのは間違いありません。
リコール作業をお客様に迷惑を掛けず迅速に対応されたのは素晴らしいと感じています。

会社の方針でとか○○でとか、様々な言い訳でもって、できない理由を並べてくれるは大いに結構です。
できないディーラーとできるディーラーが存在するのであれば、できるディーラーで大切な愛車の作業をお願いしたいですね。


ただ、根本の問題を解決しないと、今後のプログラミング時にも【交換CON(部品番号9866933)】問題は引きずります。

これを機に、HWAP_000028A2_255_255_255が搭載されたCON(ZBE3)へ無償交換するか、ISTAのシステムを改良する必要があると考えています。


最後に車台番号が
WMWXT720★0 T859★★★
2016年6月から9月に製造された
ミニ 5ドア(F55) COOPERSD(クーパーSD)

の方々へ、リコール作業までにこの情報が届いてくれることを祈っております。

調査していて感じることは、今回の案件は氷山の一角かも!?
隠し通している内容やディーラーも知らない内容などがひょっとしたら存在しているのでは?って思ってます。
それを色々と穿るつもりは一切ありませんが、理不尽な対応や言動の度が過ぎると、ついつい徹底的に追究してやろうと思ってしまいます(笑)

今後も作業をしていて気づいたこと、ご相談を受けて気づいたことを【サワダコラム】で紹介させていただきますね。

ちなみにサワダコラムで紹介できるネタは続出中なので、仮説を立てて検証して得られた結果を証拠として準備が整い次第書いていきます。