故障はヘッドユニットだけでなかった!?CAN通信に難ありでいろんな不具合続出なBMW 3シリーズ(F31)

ヘッドユニットの不具合で正規ディーラーから38万円の修理見積が出ているので中古ヘッドユニットを活用して交換修理しました。
しかし、不具合はソレだけでは無かった(;'∀')
CAN通信に難があり、様々な機能に不具合を生じてトラブルだらけな3シリーズツーリング(F31)でした。
これは時間を掛けてじっくりと原因追究しなければなりません。
今回は時間が無かったので最低限考えられる処置を施しましたが帰路中に再びCAN通信に不具合が出たそうです。
かなりの難敵ですので時間を掛けて再チャレンジしてみたいです。

故障はヘッドユニットだけでなかった!?CAN通信に難ありでいろんな不具合続出なBMW 3シリーズ(F31)

車両情報

車種BMW 3シリーズツーリング ( F31 ) 320i
初年度登録2014年
都道府県山口県

中古ヘッドユニットを活用したヘッドユニット ( NBT ID3 ) 修理作業

BMW&MINIのヘッドユニットは突然故障します

iDrive画面に地図や設定情報などを表示させる役割を担っているヘッドユニット。
現在、BMW & MINIでは第9世代のヘッドユニットが登場しています。

  • 第1世代ヘッドユニット ・・・ CCC
  • 第2世代ヘッドユニット ・・・ CIC
  • 第3世代ヘッドユニット ・・・ NBT
  • 第4世代ヘッドユニット ・・・ EVO ID4
  • 第5世代ヘッドユニット ・・・ EVO2 ID5
  • 第6世代ヘッドユニット ・・・ EVO2 ID6
  • 第7世代ヘッドユニット ・・・ MGU
  • 第8世代ヘッドユニット ・・・ MGU21
  • 第8.5世代ヘッドユニット ・・・ MGU22
  • 第9世代ヘッドユニット

F系のBMWでは第2世代から第6世代のヘッドユニットが、F系のMINIでは第3世代から第6世代のヘッドユニットが搭載されています。

ヘッドユニットは、コーディング施工やTVキャンセラーなど社外パーツを装着しているとか関係なくある日突然故障します。ヘッドユニットが不動になる前兆動作を行なうことも稀にありますが、ほとんどが突然故障してしまうんです・・・。

ヘッドユニット不具合の症状事例

  • モニターに【NO SIGNAL】と表示される
  • モニターがブラックアウトして何も表示されない
  • ナビゲーションシステム起動中と表示されたままナビが起動しない
  • ヘッドユニットが再起動を繰り返す
  • ヘッドユニットが一定時間経過後、熱暴走などで再起動や【NO SIGNAL】となってしまう

などなど、ヘッドユニット不具合の症状は様々です。

ヘッドユニットに不具合が生じるとナビが使えない、音楽が鳴らない、バックカメラの後方映像が確認できないなど不便だらけなクルマとなり、ドライブでストレス溜まりまくりで精神不安定状態に陥ってしまいます。

ヘッドユニット不具合の症状確認

ヘッドユニットが故障して修理作業をご依頼いただいたのは第3世代のNBTモデル。
2012年から2015年の車両に搭載されているナビユニットです。

ディスプレイがブラックアウトする、ナビゲーションがフリーズする、音声案内が鳴らないといったヘッドユニット機能に不具合があり、地元の正規ディーラーでヘッドユニット交換修理だと告げられている3シリーズツーリング(F31)。

専用診断機でエラーチェックしてみるとヘッドユニットに関するエラーは記録されていますが、そのほかにK-CAN2に関連するエラーが多数記録されています。

地元の正規ディーラーで修理見積が出ているのであればヘッドユニットの不具合があると判断する根拠があるでしょうから、別でヘッドユニット( NBT ID3 )を用意して交換修理を行なうことにします。
用意するヘッドユニット( NBT ID3 )は別車両から取り外された中古のヘッドユニット( NBT ID3 )を活用します。

中古ヘッドユニット( NBT ID3 )を活用してご来店までに修理

ご来店までに中古のヘッドユニット( NBT ID3 )を車両につながず机上で諸々の設定を行ないます。

ヘッドユニットにはクルマの車台番号やオプション装備に適した認証コードがインストールされています。

ご用意した中古のヘッドユニットにも以前の車両の車台番号やオプション装備に適した認証コードが入っています。この状態でヘッドユニットを移植しても不整合が発生して中古のヘッドユニットは正常な動作を行なってくれません。

したがいまして、ヘッドユニット( NBT ID3 )の修理手順としましては、

  1. 中古ヘッドユニットに入っている車台番号や認証コードなどを一旦初期化
  2. 修理作業で取り付ける車両の車台番号や認証コードをインストール
  3. ヘッドユニットのプログラムを最新バージョンへバージョンアップ
  4. ナビ地図データを最新バージョンへバージョンアップ
  5. ヘッドユニットを2時間程度稼働させる

などを行なっており、実際にお客様がご来店いただくまでに行なっています。

なお、認証コードはBMW & MINI正規のデータをBMW AGより調達してますのでご安心ください。

そのため、ご来店いただいてから最短1時間程度で修理作業を完了させることができます。
ただ、ヘッドユニットの不具合がイレギュラーな症状の場合もございますので、基本的には4時間程度の修理時間でご案内しています。

ご来店いただき設定済みヘッドユニット( NBT ID3 )へ交換作業

BMW & MINI専門店のライコウへご来店いただき、車両へ事前にご用意している設定済みヘッドユニット( NBT ID3 )を取り付けます。

そして、エンジンを始動させて修理交換済みのヘッドユニット( NBT ID3 )が取り付けた車両で動作するかのチェックを行ないます。

ヘッドユニットが起動してオープニングアニメーションが表示されました。

ヘッドユニット( NBT ID3 )の動作チェック

メインメニューから様々な機能の動作チェックを行ないます。

メインメニューから様々な機能の動作チェック
FM & AMラジオの動作チェック

FMラジオとAMラジオの受信状態を確認します。

FM & AMラジオの動作チェック
FM & AMラジオの動作チェック
CD/DVDプレーヤーの動作チェック

CD/DVDプレーヤーが再生されるかをチェックします。

CD/DVDプレーヤーの動作チェック
外部機器 USBの動作チェック

外部機器 USBが再生されるかをチェックします。

外部機器 Bluetooth ( ブルートゥース )の動作チェック

外部機器 Bluetooth ( ブルートゥース )が再生されるかをチェックします。

外部機器 Bluetooth ( ブルートゥース )の動作チェック
電話の動作チェック

Bluetooth ( ブルートゥース ) 接続された電話を確認します。

バックカメラの動作チェック

リバースギアに入れてバックカメラ映像が表示されるかを確認します。

バックカメラの動作チェック
ナビゲーションシステムの動作チェック

ナビゲーションシステムが起動し、GPS衛星の受信が完了して自車位置が現在地になるかを試走してチェックします。

ナビゲーションシステムの動作チェック

GPS衛星の受信し3D計測で自車位置を表示してくれます。

ナビゲーションシステムの動作チェック

地図データは最新バージョンへバージョンアップ済みです。

ナビゲーションシステムの動作チェック
その他の動作チェック

他にもヘッドユニットの機能に問題無いか動作チェックを行ないます。

その他の動作チェック

専用診断機でコントロールユニットツリーを確認するとヘッドユニットに問題が無いことも確認できました。

ヘッドユニットに問題が無いことも確認
ヘッドユニットに問題が無いことも確認

ヘッドユニット認証コードのインストールもバッチリOKでヘッドユニットの交換修理は無事完了です。

特にトラブルもなく想定範囲内の不具合内容でしたので修理時間は1時間程度でした。

この不具合の原因調査がかなりの難敵です・・・。

K-CAN2通信に難ありでいろんな不具合続出

様々な車両ECUが動作不良に陥ってる!?

ヘッドユニットの交換修理が完了し動作チェック時も問題が無かった3シリーズツーリング(F31)でしたが、急展開で不具合が続出です。

お問い合わせ時にご相談いただいた不具合がすべて発生してしまってます(;'∀')

とりあえず、専用診断機でエラーチェックするとご来店時と同様でK-CAN2に関連するエラーが多数記録されてます。

ご来店時と同様にK-CAN2に関連するエラーが多数記録

多数のECUがオレンジ色表示となってエラーが出ていることがわかります。

K-CAN2に関連するエラーが多数記録
K-CAN2に関連するエラーが多数記録
K-CAN2に関連するエラーが多数記録

K-CAN2のラインで不具合が発生しているためK-CAN2で通信しているECUで動作不良が発生しているのです。

限られた時間でできることをやってみました。

まずは、AVインターフェースの取り外しです。
AVインターフェースはK-CAN2に割り込まして動作させる商品ですので分離しました。
しかし、K-CAN2通信の不具合は解消しません。

AVインターフェースのK-CAN2接続がiDriveコントローラーのコネクターを介する方法の商品だったので、iDriveコントローラーの故障を考えられるので、ライコウで持っていたiDriveコントローラーに交換してみました。

iDriveコントローラーを交換したことで動作チェックしてても不具合が出なくなったので治ったのか?と思いましたが、帰路中にK-CAN2ラインの不具合が再び出たようです。

ご相談いただいた不具合とK-CAN2で通信しているECUの因果関係

ご相談いただいた不具合とK-CAN2で通信しているECUの関連性を整理してみました。

ディスプレイがブラックアウトしたりNO SIGNAL表示になる

ヘッドユニット ( HU-H )はK-CAN2通信してので通信が途切れてしまいディスプレイがブラックアウトする。
NO SIGNAL表示はヘッドユニット ( HU-H )は電源が入っているのもののK-CAN2通信出来ていないからデータがインプットされずNO SIGNALとなってしまう。

iDriveコントローラーが動かなくなる

コントローラー ( CON )はK-CAN2通信しているので通信が途切れてiDriveコントローラーを操作してても動かない。

【 緊急通報システム異常 】の警告メッセージが出る

緊急通報システムはテレマティックコミュニケーションボックス ( TCB )が担っておりK-CAN2通信しているので通信が途切れて緊急通報できなくなり異常の警告が出る

リアウインカーが点灯せずハイフラ現象になる

リアウインカーを制御しているのはリアエレクトロリックモジュール ( REM )のためK-CAN2通信しているので通信が途切れてフロントエレクトロニックモジュール ( FEM )からのウインカー信号を受け取れないから不点灯になる

サンルーフ操作ができない

サンルーフの開閉などはルーフ機能センター ( FZD )のためK-CAN2通信しているので通信が途切れてサンルーフのスイッチ操作しても動作しない。

ご相談いただいた不具合はK-CAN2の通信エラーが原因だと推測される

ご相談いただいた不具合はほぼK-CAN2の通信エラーが原因だと推測されます。

しかし、K-CAN2通信の不具合の原因は?

これを探し出すのは至難の業です。

専用診断機が記録しているエラーの内容とご来店いただいた際の車両の状況から鑑みて原因を推測してみました。

・AVインターフェースは取り外したが他にもK-CAN2通信に社外品が装着されてて不具合があり誤信号を出している。

・社外品の取付作業時などでK-CAN2のラインに損傷がありショートなどが発生している。

・K-CAN2接続している車両ECUに不具合が発生して通信に障害を発生させている。

などが考えられます。

その対策としてK-CAN2のラインを新たな配線でやり直すのが第一歩かなって感じてます。
そうするともしK-CAN2通信へ社外品が接続されていたとしても排除できるのと、K-CAN2ラインの損傷があったとしても回避できます。逆にK-CAN2ラインの損傷を探すのはとてつもなく大変です。

それでK-CAN2ラインに接続している車両ECU達の挙動を確認して次の対策を行なうことで一つずつ考えられる問題点を潰していくのが問題解決への近道かな。

ってブログを書きながらK-CAN2通信エラーの原因を考えてたら、ヒントを得ました。

根拠として、リアウインカーは不点灯になるもののテールライトやブレーキライトは点灯していたそうなのです。
リアエレクトロリックモジュール ( REM )が完全に通信不能となっていたらブレーキライトもテールライトも点灯しないはず・・・。
リアウインカー不点灯時にテールライトやブレーキライトは点灯していたとの情報はスタッフの記憶での話でして、私は横浜にいてて現車を自分の目で見てないので何とも言えませんが。

もし、リアウインカー不点灯時にテールライトやブレーキライトが不点灯状態ならば追突事故を誘発しかねない危険な状態です。

遠方のお客様なので再来店いただけるかはわかりませんが、できれば自分の目で見て肌で感じて状況を確認して原因を追究したいなって思ってます。

また、再来店いただけなくても早急に不具合が改善されるよう、ご来店いただいた際の状況及び想定される原因を私なりに書いてみました。

いつもならここまでの内容を書かないです。
というのもBMW専門店のライコウは慈善事業を行なってませんのでヒントを与えるようなことはしたくないからです。
しかし今回は走行して事故を誘発してしまう可能性が少なからずあるので、他店ででも早急に不具合を改善する必要があると考えています。
ご来店時の車両の状態や専用診断機の情報でもって、ライコウへ再来店いただいたら実施するであろう作業内容を書かせていただきました。