
BMW 3シリーズセダン F30 GPS不良で純正ナビの自車位置が更新されない不具合を点検。ディーラーでヘッドユニット交換と判断された症状でしたが、別に原因があることを見つけて復活できました。
車両情報
| 車種 | BMW 3シリーズセダン(F30) LCI 320d |
| 初年度登録 | 2016年 |
| 都道府県 | 神奈川県 |
今回ご相談いただいた症状について
神奈川県内からご来店いただきました。
第4世代ナビ(EVO ID4)搭載車両にて、純正ナビの自車位置がまったく更新されないという症状が発生していました。
ディーラーではすでに点検が行われており、
- ヘッドユニット(HU-H)が原因
- 修理方法はヘッドユニット交換のみ(約36万円)
という診断結果だったそうです。
しかし、私はそのディーラー判断に違和感を持ってしまったので、まずは点検でご来店いただきました。
BMW F30 GPS不良|現車確認と診断結果
車両を確認すると、以下の状態でした。
- GPS受信衛星数:0
- 自車位置:神奈川県横浜市ではなく
東京都昭島市武蔵野(最終計測地点)で停止 - 走行しても位置情報は一切更新されず
ディーラーで診てもらっても症状は全く改善できていません。


専用診断機 ISTA にて車両診断を実施したところ、
- ヘッドユニット「HU-H」:グリーン表示
- エラーメモリー:記録なし
- GPSステータス:「3D位置特定が可能」
診断機上では異常なしという結果でした。


経験値から立てた仮説
ここで、過去の修理実績と構造理解をもとに仮説を立てます。
第4世代ナビ(EVO ID4)以降のGPS系統は、
GPSアンテナ → TCB → ヘッドユニット
という経路で接続されています。
つまり、GPSアンテナはヘッドユニットへ直接つながっていません。
そこで想定したのは以下の2点です。
- GPSアンテナの不具合
- TCB(テレマティクスコントロールボックス)の不具合
実際に以前、BMW 5シリーズ(G30)で
GPSアンテナ故障により自車位置がずれる症状を修理した事例があります。
👉
BMW 5シリーズ(G30)でGPS受信不良を修理した作業事例
https://raikopower.com/bmw-gps-%e3%81%9a%e3%82%8c%e3%82%8b5%e3%82%b7%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%bag30%e3%81%aegps%e5%8f%97%e4%bf%a1%e4%b8%8d%e8%89%af%e3%82%92%e4%bf%ae%e7%90%86%ef%bd%9c%e7%b4%94%e6%ad%a3%e3%83%ab%e3%83%bc/
この時もISTAでは異常を特定できませんでした。
TCB再起動による検証
GPSアンテナ交換となると、内装脱着を伴う大掛かりな作業になります。
そこでまずは TCBの状態確認 を行います。
TCBは、
- SOSコール
- コネクテッドサービス
などを担うユニットで、常時電源で稼働しています。
エンジン停止中でも動作し続けているため、ソフトウェア的に不具合(フリーズ・バグ)が起こることがあります。
今回は TCBを再起動 させてみました。
BMW F30 GPS不良|症状改善を確認
TCB再起動後、
- GPS受信衛星数:4
- 自車位置:神奈川県横浜市都筑区大熊町(横浜店周辺)
へと正常復帰しました。

その後、オーナー様に同乗いただき周辺を走行し動作確認。
- 走行に応じて経度・緯度がリアルタイムで変化
- GPS測位が正常に行われていることを確認
純正ナビの自車位置表示は完全に復活しました。

今回の結論とご案内
今回の不具合は、
- ヘッドユニット故障ではなく
- TCBが一時的にバグを起こしていた可能性が高い
と判断しています。
そのため今回は部品交換を行わず、経過観察として様子を見ていただくことになりました。
また、
- 再発した場合は
TCB用ヒューズの抜き差しによる再起動 - 症状が頻発する場合は
GPSアンテナ交換 または TCB交換
が必要になる可能性があることも、事前にご説明しています。
誤診による高額修理を回避できた実例
もしディーラー診断のまま修理を進めていた場合、
- ヘッドユニット交換(約360,000円)
- 症状改善せず
- 次はGPSアンテナ、TCB交換…
という流れになっていた可能性も否定できません。
結果的に、不要な高額修理を回避し、ご来店から動作確認まで 約1時間 で解決できました。
ディーラー診断が「すべて」ではない理由
BMW正規ディーラーでの診断は、メーカー基準に沿った安全で確実な方法であることは間違いありません。
しかし一方で、診断の進め方には明確な特徴があります。
ディーラーでは、
- ISTA上でエラーが出ているユニット
- メーカーが想定する不具合パターン
を基準に、「該当ユニットを交換する」という修理方針が取られるケースがほとんどです。
これは時間効率・責任範囲・保証対応を考えると、非常に合理的な判断です。
ただしその反面、
- エラーを記録しない不具合
- 一時的なバグや通信異常
- 周辺ユニットや経路上の問題
といった 「診断機に現れないトラブル」 については、原因の特定が難しくなる傾向があります。
ライコウが行なっている診断の考え方
ライコウでは、「どの部品を交換するか」ではなく「なぜその症状が出ているのか」を最優先に診断します。
今回のようなGPS不良のケースでも、
- ヘッドユニットが本当に原因なのか
- GPSアンテナ〜TCB〜ヘッドユニットの通信経路は正常か
- 一時的なソフトウェア不具合やフリーズの可能性はないか
といった点を、構造理解と過去の修理実績をもとに仮説立て → 検証 していきます。
そのため、
- ISTAでエラーが出ていなくても疑う
- 「正常表示」でも鵜呑みにしない
- いきなり高額部品交換を選択しない
という診断プロセスになります。
診断力の差が「修理費用の差」になる
今回の事例では、ディーラー診断のまま修理を進めていれば、
- ヘッドユニット交換(約36万円)
- それでも改善しなければ次の部品交換
という流れになっていた可能性がありました。
しかし実際には、
- ヘッドユニットは正常
- GPSアンテナも現時点では正常
- TCBの一時的なバグが原因
という結果でした。
原因を正しく見極められるかどうかで、
修理費用は数十万円単位で変わることがあります。
交換前に「一度立ち止まる」という選択肢
ディーラーで「この部品を交換するしかない」と言われた場合でも、
それが 唯一の正解とは限りません。
特に、
- エラーが出ていないのに不具合が起きている
- 修理見積もりが高額
- 原因の説明に納得できない
このような場合は、
一度、別の視点で診断してみる価値があります。
ライコウでは、
- 交換ありきではない診断
- 症状が出る理由を説明できる修理
- 不要な部品交換を避ける提案
を大切にしています。
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