
BMW G30 ブラックアウト。ヘッドユニット異常と思いきや、原因はモニター本体。ISTA診断と現車確認で正確に特定しました。
車両情報
車種 | BMW 5シリーズセダン(G30) 523i |
初年度登録 | 2018年 |
都道府県 | 東京都 |
ナビ画面が真っ黒に!BMW G30で発生したトラブルの症状
東京都からご来店いただいたお客様のBMW 5シリーズセダン(G30・523i/2018年式・前期モデル)。
症状は「ナビ画面が真っ黒のまま表示されない」というもの。


一見するとナビ本体の故障に思えますが、オーディオ音声は正常に出力されているため、ヘッドユニット(HU)は動作している可能性が高いと判断しました。
G30系のナビ画面は「CID(Central Information Display)」と呼ばれるモニター部で、ヘッドユニットと同軸ケーブルで接続されています。
もしどちらかが故障、あるいは通信が途絶えると、今回のように画面がブラックアウトします。
このような症状の多くは、ディーラーでも診断機「ISTA」で解析を行いますが、ライコウでも同様にBMW/MINI正規診断システムISTAを使用して詳細なエラーチェックを行いました。
ISTA診断で判明した「ヘッドユニットとCID間の通信なし」
専用診断機ISTAによるエラーログの結果、「ヘッドユニットとCID間の接続:通信なし」というエラーが記録されていました。
ヘッドユニットや関連モジュールには異常なし。つまり、システム的にはヘッドユニットは稼働しているが、モニター(CID)側に信号が届いていないことを意味します。

社外品のAVインターフェースや地デジチューナー、DVDプレーヤーなどは一切装着されていない純正構成車両でした。
このことから、原因を次の2点に絞り込みました。
- ヘッドユニットとモニターを繋ぐ同軸ケーブルの断線・接触不良
- CIDモニター本体の故障
現車点検では、同軸ケーブルやコネクタに物理的な異常は見られず。
この時点で、CID側の内部不良の可能性が高まります。
ただし、ここで部品交換を決断するのではなく、ライコウでは確証を得るための代替テストを実施します。
G11用純正モニターで表示確認、CID本体の故障を断定
ライコウではBMW 7シリーズ(G11)用の純正モニターを在庫しており、G30と互換性があることを活かしてテスト接続を行いました。
結果、すぐに画面表示が復帰。メニュー画面やバックカメラ映像も正常に出力されました。

これにより、ヘッドユニット側やケーブル経路は正常、原因はCIDモニター本体の故障であることが確定しました。

このような事例は非常に稀で、ライコウでもこれまでほとんど遭遇したことがありません。
内部基板の制御回路またはバックライト点灯系の不良が推定されます。
なお、10.25インチ純正モニターの新品部品価格は519,000円(税別)と高額です。
お客様にも状況を丁寧にご説明し、BMW純正中古モニターを用いた修理対応をご提案しました。
現在、信頼できるルートから動作確認済み中古パーツを手配中で、交換修理後に再度ご来店いただく予定です。
ISTA診断と現車確認の両輪で、最短ルートの原因特定
今回のようなブラックアウト症状は、初見ではヘッドユニット故障と思われがちですが、実際には診断機と現車確認の両輪による解析が不可欠です。
ISTAによって通信断がどのユニット間で起きているかを特定し、さらに現車での信号確認・代替検証を重ねることで、最短ルートで正しい結論へと導けます。
ライコウでは、単なる診断結果だけで判断するのではなく、「実際の車両で何が起きているか」を重視。
経験に基づく検証ステップを組み合わせることで、不要な部品交換を防ぎ、コストを抑えた最適な修理プランを提案しています。
今回もその積み重ねにより、短時間で正確な原因究明と修理方針の決定ができました。
BMW G30系で画面が映らない、ブラックアウトするなどの症状が発生した場合は、ぜひ一度ライコウへご相談ください。
正確な診断と適切な対処で、確実にトラブルを解決いたします。