BMW 3シリーズ F30|ディスプレイ無反応&警告灯多数点灯の原因を特定!

BMW 3シリーズ F30で発生したディスプレイのブラックアウトとメーターの警告灯多数点灯。専用診断機ISTAによる原因特定から仮交換テストまでを実施し、的確な修理提案を行った事例をご紹介。

車両情報

車種BMW 3シリーズセダン (F30) アクティブハイブリッド3
初年度登録2012年
都道府県埼玉県

ディスプレイがブラックアウト?警告灯も多数点灯?その原因と対策を徹底解説!

【ご来店いただいたお車について】

今回ご紹介する作業事例は、2013年式 BMW 3シリーズセダン(F30)アクティブハイブリッド3。前期モデルの車両で、環境性能と走行性能を高い次元で両立した人気グレードです。

埼玉県からご来店いただいたお客様より、以下のようなご相談を受けました。

  • センターディスプレイが突然ブラックアウトしてしまい、何も表示されなくなった。
  • ゴング音も鳴らず、ラジオやナビも一切使用できない状態。
  • さらに、メーターには多数の警告灯が点灯し、「走行安定システム」や「タイヤ空気圧低下」といったメッセージも表示される。

このように、ディスプレイの表示トラブルとメーターの警告灯多数点灯が同時に発生しているという状況でした。

📸 ブラックアウトしたディスプレイ

ブラックアウトしたディスプレイ

【初期診断】専用診断機(ISTA)によるチェック

まずはライコウで使用しているBMW専用診断機ISTAにて、車両全体のエラーをスキャンしていきます。

結果、以下の重大なエラーが記録されていました:

  • ヘッドユニット(HU)の通信不可エラー

このエラーコードは、ディスプレイユニットと各電子制御ユニット間の通信が取れていないことを示しています。

📸 ヘッドユニット(HU)の通信不可エラー

ヘッドユニット(HU)の通信不可エラー
ヘッドユニット(HU)の通信不可エラー

なお、診断時点ではヒューズ切れなどの単純な原因も疑われたため、念のためヘッドユニットの電源系ヒューズを確認。しかし、ヒューズは正常で、切れてはいませんでした。

📸 ヘッドユニットの電源系ヒューズを確認

ヘッドユニットの電源系ヒューズを確認

このことから、ヘッドユニット本体の内部故障の可能性が極めて高いと判断できます。

【仮交換による動作確認】原因の切り分けを実施

ライコウでは、F30用の中古ヘッドユニットを在庫しておりましたので、仮に交換して動作確認を行いました。

仮装着してイグニッションをONにするとディスプレイにメニュー画面が表示されました。

📸 仮交換後に復旧したセンターディスプレイの様子

この時点で、ディスプレイがブラックアウトしていた原因は、ヘッドユニットの故障によるものであることが明確になりました。

仮交換により正常動作が確認できたため、お客様には中古ヘッドユニットを使用した交換修理をご提案させていただきました。

【メーターパネルの警告灯】複数点灯の原因を調査

続いて、もう一つのご相談内容である「メーターパネルへの警告灯多数点灯」について診断を進めます。

メーター上には、以下のような警告とメッセージが表示されていました:

  • 「走行安定システムに異常があります 慎重に走行してください」
  • 「タイヤ空気圧が低下しています 慎重に停車してください」

このような内容は、ABSやDSC、TPMSなどの制御に関わる足回りセンサーの不具合を示唆しています。

📸 メーターパネルへの警告灯多数点灯

メーターパネルへの警告灯多数点灯
メーターパネルへの警告灯多数点灯

ISTAによる診断を実施すると、左リアのホイールスピードセンサー異常が記録されていました。

📸 左リアのホイールスピードセンサー異常

左リアのホイールスピードセンサー異常
左リアのホイールスピードセンサー異常

スピードセンサーが正常に作動していないことで、車両の走行状態が正しく制御できず、ABSやDSCといった走行安定制御システムに影響を及ぼしていたのです。

【リセット&試走行】再発するエラー

診断結果をもとに、いったん全てのディフェクトメモリー(故障記録)を消去。

次に、タイヤ空気圧モニターのリセット作業を行い、試走行にて警告の再発有無を確認。

📸 タイヤ空気圧モニターのリセット作業

タイヤ空気圧モニターのリセット作業
タイヤ空気圧モニターのリセット作業
タイヤ空気圧モニターのリセット作業

しかしながら、走行すると再び警告メッセージが点灯。

→ やはり左リアのホイールスピードセンサーの不具合が再発してしまいました。

このように一時的にエラーをリセットしても、センサー自体が物理的に劣化・故障している場合は根本解決にはなりません

特に夏場のような高温下では、センサー内部の電子部品の熱劣化やハーネス接続部のトラブルが増加する傾向があります。

実際、ディーラーでもこのスピードセンサーは在庫を多めに確保しているそうで、よくある故障ポイントの一つとなっています。

【ライコウからの修理ご提案】

今回の診断結果をもとに、お客様には以下の2点の修理をご提案いたしました。

  1. ヘッドユニットの交換修理(中古部品使用)
  2. 左リアのホイールスピードセンサーのBMW純正新品への交換

どちらの部品もすでにライコウにてご用意可能ですので、後日ご予約いただき施工をさせていただく予定です。

【ポイント解説】

■ BMW F30系でディスプレイがブラックアウトした場合の主な原因

BMW F30系(前期・後期を問わず)で、センターディスプレイが急に映らなくなる症状の大半は、以下のような原因が考えられます。

  • ヘッドユニット(NBT等)の基盤故障や通信エラー
  • 電源系統のヒューズ切れや断線
  • MOSTバスの異常(光ファイバー通信)
  • 車載ソフトウェアのクラッシュ

そのため、いきなりユニット交換するのではなく、原因を段階的に調査することが大切です。

ライコウでは仮装着用の在庫を常備しており、費用をかけずに診断と切り分けが可能です。

■ スピードセンサー故障で起こる二次的なトラブル

ホイールスピードセンサーは、ABSやDSC、クルーズコントロール、タイヤ空気圧モニター(TPMS)など、複数の機能に連動している重要なパーツです。

そのため、一箇所の故障でも各システムが連鎖的にエラーを出し、警告灯が一斉に点灯してしまうことがあります。

「一見すると大きなトラブルに見えても、原因はセンサー1個の不具合だった」ということも多くありますので、まずは冷静に正確な診断を行うことが重要です。

【まとめ】

BMW F30アクティブハイブリッド3で発生した、

  • センターディスプレイのブラックアウト
  • メーターの警告灯多数点灯

という2つの症状。ライコウでは専用診断機によるエラーチェック+仮交換による動作確認を組み合わせ、確実かつ的確な原因の特定を行いました。

お車に関する不具合や電装トラブルでお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。BMW・MINI専門店ならではの知識と在庫力でスピーディに対応いたします!